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やさしい税務会計ニュース

文書作成日:2024/02/13
インボイス制度/2割特例適用の可否判断

[相談]

 私は個人で不動産賃貸業を営んでいます。
 貸しビルにはテナントが入っているため、2023年10月1日からインボイス発行事業者となるように登録を受けました。
 年収1,000万円を超えることはなかったため、これまで消費税は納めていません。今回の登録を機に消費税の申告を行うことになりましたが、私は2割特例の適用を受けることができるのでしょうか。

[回答]

 2割特例の適用を受けられる事業者に該当すると思われますが、適用を受けられる課税期間かどうかの判断は、詳細な情報が必要となります。なお、2割特例の適用についての可否判断は、下記解説をご参照ください。

[解説]

1.2割特例とは

 2割特例とは、インボイス制度を機にこれまで消費税の免税事業者であった事業者が課税事業者となる場合を想定し、事務負担軽減のために設けられた制度です。具体的には、消費税の納付税額を計算する際、通常は、売上税額から仕入税額を控除するところ、売上税額の2割を納付税額とすることができます。

2.2割特例を適用することができる事業者

 2割特例は、どの事業者でも適用できるわけではなく、次の金額がいずれも1,000万円以下の事業者が適用することができます。

  • 基準期間(個人は2年前、法人は2期前)の課税売上高
  • 特定期間(個人は前年の1〜6月、法人は前期の上半期)の課税売上高(給与等支給額の合計額に代えることも可能)
3.適用ができない課税期間

 上記2.の事業者であっても、以下のいずれかの課税期間に該当する場合には、その課税期間について2割特例を適用することはできません。

  • 「消費税課税事業者選択届出書」を提出したことにより、2023年9月30日以前から課税事業者となっている場合の同日を含む課税期間
  • 相続・合併・分割、新設法人・特定新規設立法人、高額な資産を仕入れた場合等の納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間(相続、高額な資産を仕入れた場合は一定の場合を除く)
  • 課税期間の特例の適用を受ける課税期間

 ご相談の場合は、上記2.に該当するため適用することができる事業者に該当するものと思われます。ただし、上記3.に該当するかどうかの情報はないため、これらの課税期間に該当しないかの確認をお願いいたします。

 なお、国税庁サイトでは、個人事業者向けの2割特例特設ページを開設しています。ここには、制度説明の動画の他に、適用可否フローチャートも用意されています。こちらのツールも参考に、適用可否を判断されるとよいでしょう。

[参考]
国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和5年10月改訂) 」「2割特例 特設ページ (個人事業者向け)」など

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